生物学史分科会シンポジウム「人形のいる生物学史」

生物学史分科会シンポジウム「人形のいる生物学史」

12月16日(日)14:00~17:15 東大駒場キャンパス16号館119号室
講演:菅実花、西原志保、高橋さきの 趣旨説明・司会:奥村大介
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft12153/hisbio/sympo_j.htm

人体をモデルに人形をつくることはあらゆる時代・地域に見られ、人間の文化的活動の基幹にかかわる。人の形をあらわす人形の系譜には、這子・天児など憑代的な人形、雛人形、市松人形、文楽(人形浄瑠璃)、マリオネットなどの伝統的な人形、20世紀美術のなかでベルメール、四谷シモンらの制作した球体関節人形などがある。日本語では人形(にんぎょう/ひとがた)であるが、たとえばdollとかpuppetというとき、そこには人間以外の動物や架空の生物を象ったものも含まれる。また、人体の形状のみならず機能を精巧に再現し、ときに人間の生物学的能力を凌駕する人形として、オートマタ(からくり人形)、人造人間、ロボット、サイボーグ、ラブドールなどが含まれる。逆に、人体・生物体を一種の人形と表象することは、デカルト、ド・ラ・メトリ、ノーバート・ウィナーと連なる動物機械論・人間機械論の思想的系譜に関わる。今回のシンポジウムでは、このような生物体と人形の往還の様相を、さまざまな文化形象のなかに探ってみたい。

同時に、このシンポジウムは、本会会員であった金森修氏(1954-2016)の書き下ろし遺作『人形論』(平凡社、2018年5月)の刊行を受けて、著者不在ながら、一種の合評会の性格を兼ねている。

[プログラム]
14:00-14:30 奥村大介「序論と解題――あるいは、金森修『人形論』(2018)について」
14:30-15:00 菅実花「未来の母としての「妊娠するアンドロイド」をめぐって」
15:00-15:30 西原志保「殖えない猫と殖える人形――笙野頼子『硝子生命論』を中心に」
15:30-16:00 高橋さきの「人形と生き物と言葉」
16:00-16:15 休憩
16:15-17:15 総合討論

登壇者紹介

菅実花(かん みか)
美術作家。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程。2014年より等身大の女性型愛玩人形の妊娠をテーマにしたアートプロジェクト「Do Lovedolls Dream of Babies?」を手がける。主な展覧会に個展「The Future Mother」(慶應義塾大学、2016年)、個展「The Silent Woman」(文京区立森鴎外記念館、2018年)、アートフェスティバル「黄金町バザール2017 Double Façade 他者と出会うための複数の方法」(2017年)。著書に『〈妊婦〉アート論――孕む身体を奪取する』(共著、青弓社、2018年)がある。

西原志保(にしはら しほ)
日本文学専攻。国立国語研究所非常勤研究員、共愛学園前橋国際大学非常勤講師。著書に『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』(新典社新書、2017年)、主な論文に「女三宮のことば――『源氏物語』の時間と内面」(『日本文学』2008年12月)、「『源氏物語』女三宮の自己意識」(『日本文学』2009年9月)、「生殖の拒絶――『それから』における花のイメージ」(『名古屋大学国語国文学』2009年11月)、「『源氏物語』の人形論――雛と「人形」の手法」(『頸城野郷土資料室 学術研究部 研究紀要』vol.2. no. 5、2017年8月)などがある。

高橋さきの(たかはし さきの)
翻訳者。科学技術論専攻。お茶の水女子大学非常勤講師。工業所有権関連の翻訳を生業とする。ダナ・ハラウェイの訳書として『猿と女とサイボーグ――自然の再発明』(青土社、2000年、新装版2017年)、『犬と人が出会うとき――異種協働のポリティクス』(青土社、2013年)、論文訳として「人新世、資本新世、植民新世、クトゥルー新世――類縁関係を作る」(『現代思想』2017年12月)など。他の訳書にシルヴィア『できる研究者の論文生産術』(講談社、2015年)、『できる研究者の論文作成メソッド』(講談社、2016年)など。共著書に『リーディングス戦後日本の思想水脈 第2巻』(岩波書店、2016年)、『生命科学の近現代史』(勁草書房、2002年)、『できる翻訳者になるために』(講談社、2016年)、『プロが教える技術翻訳のスキル』(講談社、2013年)など多数。

奥村大介(おくむら だいすけ)
比較文学・科学文化論専攻。明治大学ほか非常勤講師。主な著訳書に、金森修編『明治・大正期の科学思想史』(共著、勁草書房、 2017 年)、化学史学会編『化学史事典』(分担執筆、化学同人、2017 年)、レイノルズ&マコーミック『20世紀ダンス史』(共訳、慶應義塾大学出版会、2014 年)、論文に「青空の見える窓――金子國義の部屋」(『ユリイカ』2015 年 7 月臨時増刊号)、「ささめく物質――物活論について」(『現代思想』 2014 年 1 月号)、「生体放射の歴史」(『生物学史研究』第87号、2012年9月)、「高みへの落下、あるいはシモーヌ・ヴェイユと重力の詩学」(『現代詩手帖特集版 シモーヌ・ヴェイユ』思潮社、2011年)などがある。